2006年1月

 

某日> 『メイド・イン・マンハッタン』という2002年の映画を観た。「サービス業は、知性と品位を必要とする。お客とは、金を使う側にあるだけ。彼らに仕えても我々は使用人ではない。仕事の内容によって人間の価値が決まるわけではない。挫折した時に、どう乗り越えられるかで決まるものだ」という台詞に感動した。ジェニファー・ロペス出演の3点映画だが、この台詞一つで4点になった。

 

 

某日> 映画『蝉しぐれ』を添人と大阪で観た。固い友情で結ばれた3人を、市川染五郎、ふかわりょう、今田耕司が演じる。チラシによると、この作品のテーマは「若々しさ」「清々しさ」ということだ。ふざけたキャスティングだ。若々しさは、“未熟”とイコールではないし、清々しさは、“軽い”とイコールではない。

 

 

某日> 『こどものためにあいうえお』を読んでくださったお二人から、同様の意見をいただいた。「花の名前を記してほしい」というものだ。お二人には手紙で説明したが、これから同様の意見が来ると予想されるので、この場で説明をさせていただく。
 花の名前を記さなかったのには2つの理由がある。1つは、花にはいくつもの名前があるが、すべてを記すのはデザイン上の問題があり、1つに決めるには抵抗があった。たぶん、1つの花には地方によって違った名前があり、その名前がその地方の人々には切り離せない名前になっていると思う。そして、正式な学術的名称より、そんな日常的名称を頭に浮かべながら花の写真を見ていただく方が良いと思ったのだ。
 2つ目の理由は、人を観る(判断する)ときには、社会的地位や学歴などにとらわれずに、目の前の人を真っ直ぐに観るべきで、花もそれと同じだと思っているからだ。以前に「名も知らぬ花が美しい」という一行詩を書いたのだが、これから何年か後に、それを題名にした詩集を作ろうかとも考えている。
目の前にあるその花を虚心に観る。人物、料理、映画、等々。すべての物事に対して虚心で当たることが大切だといつも思っている。

 

 

某日> 朝日新聞の今月16日朝刊に、僕の詩集の記事が載った。昨年秋の来宅取材と今年に入って2回の電話取材をまとめていただいた記事だ。
掲載当日の朝から、小さな出版社の電話兼FAXの着信音はひっきりなしに鳴り、翌日も翌々日もそれは続いた。
 4日目の少し落ち着いた今、これを書いている。
 言いたいのは、本が売れているということではない。何が読者を動かしたか、ということだ。
 掲載日の夕方、この記事を書いてくださった社会部のK記者に、電話でお礼と読者の反応を伝えた。するとK記者から「記者としてではなく一人の人間として、読んで感銘を受けたのです。家族にも読ませたいと思っています」と返された。胸が一杯になり、涙ぐんでしまった。この言葉を聞かせたら、家人も出版社の代表も涙ぐんでいた。
 今回、沢山の読者を動かしたのは、大きな新聞の記事だから、ということもあるだろうが、それは2番目の理由だと思う。
 一番の理由は、記者が一人の人間として感じたことを、読者に伝えたい、と心で書いた記事だから、沢山の読者を動かせたのだと思う。
 彼のような記者と出会えたことを、一人の人間として感謝している。

 

 

某日> 毎日新聞の地方版に、『愛することと優しさについて』と『こどものためにあいうえお』の記事が出た。電話による取材だったが、2冊の写真も載せていただき、『こどものためにあいうえお』から抜かれた文も的確なものだった。朝日新聞の少し前には、『ハヌリ新聞』という韓日文化についての新聞に詩集の紹介記事を出していただいた。この1月だけで3つの新聞に載った。沢山の方々の目に触れることで、詩が広がり、子どもの幸せにつながってくれると思うと、感謝感謝です。

 

 

某日> と言うより30日の月曜日から、『愛することと優しさについて』と『こどものためにあいうえお』が、紀伊国屋書店新宿本店に並べていただけることになった。どんなコーナーにどの様に並んでいるのか、見に行きたいのだが東京は遠い。子ども出版がミニミニ出版なので、全国すべての書店さんに対応できない。だから全国の大きな書店さんには本が平積みで並んでいる、と言うのを目指している。新宿本店に並んだことは、本当に嬉しい第2歩目だ。沢山の方が手に取って読んでみてくだされば、と思う。

 

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