2006年2月

 

某日> 昨年11月に自殺したMちゃんのお母さんと初めて会って、話を伺った。Mちゃんは、最期の日々に僕の詩集『愛することと優しさについて』を読み、生きる道を探しているようだった。お母さんから見せていただいた彼女の日記には、僕の詩集からの抜書きが幾つもあった。「忘れてはならないこと」も読んでくれたはずなのに、と無念でならない。お母さんにも話したが、次の作品である写真詩集『雲のある風景』には、10代、20代の若者に向けて詩を書くつもりだ。自らを傷つけないこと。他者を傷つけないこと。この2つを強く言いたいと思っている。

 

 

某日> 電話で講演依頼をされた方と面談した。今までも電話や、後援会を通して、何度か講演の話があった。①詩は広がってほしいが、僕自身は目立ちたくない。②僕の詩を読んでいない方々に詩の話をしても意味がない。③予算の消化みたいな講演はお断り。-などの理由でお断りし続けていた。しかし、自殺したMちゃんのこともあり、詩で伝えられえることの限界を、講演という形で補えるかも知れないと考えるようになった。で、お会いすることにした。来られたお二人は真面目そうな方だった。出版の前にしていて、しばらくやめていた“詩写ライブ”という少人数向けの懇談会も再開するつもりだし、講演もしていいとは思っている。しかし、両方共、子ども出版として受け、出版社と僕の経済的側面を支えるものであるから、金額で合わない時は、残念でした、と言うしかない。手前味噌だと思われても困るが、『愛することと優しさについて』は普通の詩集なら2冊か3冊になる量の詩が入っている。イラストや写真を使って冊数を増やすなら、10冊にすることも可能だと思う。現に、大きな書店へ行けば、そんな詩集が幾つもある。この詩集を初めて出版した折、100篇以下にする様に、とか、2冊分にする量だよ、という出版社からの言葉に抗して、前書きや後書きを省いてまで沢山の詩を入れました。これからも、今のままの形と値段で『愛することと優しさについて』を出し続けます。僕のメインは詩集です。そこをご理解ください。

 

 

某日> 『愛することと優しさについて』の携帯版としての3刷目が出来上がった。内容がまったく同じのハードカバーの2刷と合わせると、実質5刷目になる。だから奥付には「通算5刷目」と記してある。それにしても2年少しで5刷となった。携帯版だけで言えば、6ヶ月で3刷である。朝日新聞、毎日新聞の力は大きい。しかし、それにしても3刷はすごい。常時置いていただいている書店は大小合わせて約20店しかないのだ。全国には1万3000店位書店があると思うが、その650分の1の書店にしか置かれていない。送料や振替手数料を払ってまで郵便振替で直接子ども出版に注文してくださった読者の皆さん、書店で買ってくださった読者の皆さん、書店でお世話になっている書店員の皆さん、後援会や子ども出版の皆さん、本当に感謝しています。ありがとうございます。

 

 

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