詩について

 

17歳の頃から
詩人になりたいと思っていました

[詩を書くことで生活できたらいいなあ]
と思っていたのです

そんな風に思いながら
たくさんたくさん詩を書きました
紙が手元に無い時は
喫茶店のレシートの裏や食堂の紙ナプキンに書きました
壁に貼られたポスターや電信柱にも書きました
土の道に書いたこともありました

書かないではいられなかったので
たくさんたくさん書いたのです

ところがある時
[詩を書く人が詩人なのだろうか]
と考え出しました

そして
[詩を書く人が詩人なのではなくて
 詩のある人が詩人なのではないか]
そうだとしたら
[詩を書かなくても
 詩のある生き方をすればいいんだ]
と思い至ったのです

そのときから数年間
詩が書けなくなりました

詩が浮かんでこなかったのです
言葉が詩にならなかったのです

僕にとって
詩というものは
単なる言葉ではありません
ましてや
ただの言葉遊びではありません
どのように生きるか
どのように生活するか
という問い掛けや決意なのです

自分が書いた詩に
自分が責任を持つ、ということが
詩を書くということなのだと思っています

軽やかな詩にさえも
軽やかな重みがあるのです

                                        
         『愛することと優しさについて その2』より

 

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