旭屋書店本店

 

17歳の時

[ 詩を書いて生活できたらいいなあ ]

と思った

 

その頃

幾つもの書店を探して見つからない本でも

必ずあるのが梅田の旭屋書店本店だった

 

しかし

探している本があることより

本のことをきちんと把握している書店員さんが居ることに

いつも感心していた

 

「○○の本を探しています」

とカウンターで言うと

「○○さーん」と呼ばれた書店員さんが

迷わずにすっと本棚の前へ行き

「これです」

と本を抜いて手渡してくださる

 

背の届かない上の棚から

踏み台を使って取ってくださることもよくあった

 

忙しくて案内できないときは

「○○の棚の上から○段目にあります」

と言われたりした

 

僕はいつも

フロアすべての本を把握しているような

書店員さんの仕事に感心していた

 

そんな書店員さんが何人も居るのが旭屋書店本店だった

 

17歳の僕は

[ いつかこの店に僕の本を置きたい ]

と一つの夢を持った

 

30年後に実現する夢だった

 

 

 

 

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