2025年8月

某日>前にも『しじん月記』で書きましたが、僕は健康維持のために毎日五千歩以上歩くことにしています。そしていつだったか忘れましたが、週に2回は400mを走ろうと決めました。でもなぜか、それはなかなか守れない決定でした。  
 でもこの8月は毎週2回走ったので、初めて目標をクリアしました。たった400mを2分ちょっとで走るだけなのですが、71歳の僕にとっては、必死ではありませんが「頑張って走ろう!」という感じです。  
 以前は腿を上げてストライドの大きな走りをしようとしていました。ところがある日ふっと、「長井さんみたいに腿を上げないで膝から下をすっと前に出す走り方はどうだろう?」と思ったのです。何度か走ってみたら、これがいいのです。スピードを上げても下げても体の動きが自然なのです。ぎくしゃくしないのです。
 この走り方を若い時からしていたら、膝の故障がなかったかもしれません。きっと無かった気がします。すぐ近くに長井さんの走りという良い見本があったのに、その走りが自分に合うかもしれないと思いもしなかったのです。  
 こんなふうに、人は身近に良い見本があっても、それに気付かずに無駄な時間を過ごしていることがあるのでしょうね。
某日>僕は自宅の近くでウォーキングをすることが多いのですが、その場所には僕が計測した一周1000mと直線400mがあります。  
 ある日の夕方いつものように一周1000mの周回コースをウォーキングしていて、路上の異物に気付きました。止まってよく見ると誰かの遺物でした。誰かが落として気付かないまま置き去りにされた、木片とねじ釘で作った可愛いロボットでした。  
 もしかしたら子どもが作った夏休みの工作かもしれないし、子どものために親御さんが作った物かもしれない、と思いました。路上のそれをそばのよく見える場所に移して置いておこうかとも思ったのですが、可愛いロボットなので、作った人ではない誰かに持って帰られたら作った人へは戻らないなあと思いました。  
 そこで僕が持ち帰り、このしじん月記に拾ったことを書いて、月記の冒頭写真をロボット君にしようと決めました。  
 ところで僕の幼少期にあった漫画『ロボット三等兵』って、少しは読んだと思いますが内容はまったく覚えていません。拾ったロボットの可愛いけれどチープな感じから、ふっと思い出しました。  
 可愛いロボットを落とされた方は、子ども出版までご連絡くださいね。 
某日>添人の道子さんと二人で、梅田の映画館で『長崎−閃光の影で−』を観ました。平和のためにみんなが観る意義のある映画だと思いました。  
 ただ2点疑問に感じました。【映画をまだ観ていない方はこの段落を読まないでください】①看護婦長の変心は早すぎないか。一年後か、せめて半年後に街で変心した看護婦長に出会う方が自然だと思いました。②両親が存命であるのに仕事を放り出して彼と熊本へ避難するのはスミらしくないと思いました。アツ子のように家族全員を失ったのなら、彼の「家族だ!」の言葉に惹かれるのは理解できるのですが。  
 以上2点は引っ掛かりましたが、平和への思いのこもった良い映画だと感じました。  松本准平監督は被爆三世とのことですが、71歳の僕は、父がヒロシマの救護に入った陸軍あかつき部隊の隊員なので被爆二世ということになります。でも、小学生の時からずっとヒロシマに関心を持ち、映画を観たり、作文を書いたり、歌を作ってそれを歌ったり、原爆詩を書いたりしてきたのは、被爆二世だということには関係ありませんでした。
 だって本当に間抜けな話ですが、2018年にある人に「父があかつき部隊でヒロシマの救護に行きました。」と話した直後に、「じゃああなたは被爆二世ですね。」言われるまで、僕が被爆二世だということを自覚していなかったのです。理由は知りませんが、父が被爆者健康手帳をもっていなかったことも自覚しなかったことにつながる気がします。もし、物心のつく頃に親からきちんと僕が被爆二世だということを伝えられていたら、僕は別の歌も作り、別の詩も書いていたと思います。  
 しかし、被爆二世だと自覚がない中でヒロシマを人生を考える際の原点にしたことに、ヒロシマとの運命的なつながりを感じています。 
某日>京都の下鴨神社の境内にある、樹齢200年から600年の原生林からなる『糺の森』(ただすのもり)は、国の史跡であり、ユネスコの世界遺産でもあります。ここで開催される古本まつりには時々伺います。正式名称は『下鴨納涼古本まつり』だそうです。ちなみに、京都の三大古本まつりは、『春の古書大即売会』(会場:京都市勧業館みやこめっせ)、『下鴨納涼古本まつり』、『秋の古本まつり』(会場:百万遍知恩寺)なのですが、僕は気が向いたらこれらの古本市に出向きます。  
 この8月の暑い中、糺の森の古本まつり最終日に行きました。最終日なので安売りをしている古書店さんが幾つもありました。今回は何年も前から探しているジャズピアニストのビル・エヴァンスに関する本を求めて行ったのです。すべての店を見ましたが、残念ながらありませんでした。でも、200円で買った映画DVD『年上の女』は前から欲しかった大好きな女優シモーヌ・シニョレの主演作品で、後日楽しく鑑賞しました。  
 古本まつりへ行く前に昼食をした中華料理店はまずまずの店でしたし、お土産に買った有名店のパンはもう一つでしたが肉屋さんで揚げてもらったフライ物はまずまずでした。
 富士フイルムのXE-3を首から下げての京都でしたが、写真はほとんど撮りませんでした。

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