2020年11月

某日>最近すごく売れている小説を読みました。新聞広告を見て、「久しぶりに今流行りの小説を読んでみようか」と思ったのです。
 文章は普通でした。筋も普通でした。「これを書きたい!」という情熱も感じませんでした。ですから、心に残るものがありませんでした。
 この小説を多くの人が絶賛していることに本当に驚きました。 
 そして、僕の感性と違う人がすごく多いことについて改めて考えました。この感性の違いが僕の詩集が願うように売れない原因かなあ、などと考えたからです。
 しかし、『愛することと優しさについて』〈携帯版〉は京阪地区の紀伊國屋書店、旭屋書店、ブックファーストの各店で軒並み年間売れ数第1位でした。すると、僕の感性が多くの人に伝わらないということではないのでしょう。
 で、別の角度から感性の違いについて考えてみました。文芸作品でも映画でも、多くの人たちが良いと言っているものを“自分も良いと思い込む”人がすごく多いと思うのです。おそらく、自分自身の磨かれた感性を持つ人、自らの確立した感性を持つ人がすごく少ないのでしょう。
 そして、マスメディアで情報発信する側の人にも付和雷同型の人が多くなったので、感性の二極分化がより一層進み、文化の多様性が失われてきたのだと思います。 
 近頃よく耳にする同調圧力も、多様性を良しとする社会ではなくなってきたことの証だと思うのです。
 社会のデジタル化より、互いの違い、異なる考えを認め合う多様性を大事にする社会にすることの方がずっと重要だ、と僕は思います。

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