2012年2月

~節分の日のこと~

 

 毎年、節分の巻き寿司は香里園の寿司屋で買います。13年前に72歳で亡くなった母が、毎年節分にはその店の太巻き寿司を買ってくれていたのです。随分前には太巻きでしたが、いつの間にか普通の太さの上巻きになっていました。しかし今年も、京阪電車で駅4つの香里園へ行きました。
 まず巻き寿司を買い、続いてこれも母のお気に入りの店『若芝』で和菓子を買いました。そして、前から気になっていたパン屋の『ビエル』へ行きました。
 そこから駅への帰り道でのことです。看板の見えたスーパーマーケットで、鰯の塩焼きでも買おう、と車道横の狭い歩道を歩いていたら、斜め後ろから子どもが走って来ました。僕は左へ寄って、「どうぞ」と言いました。すると小学二年ぐらいの男の子は、走りながら振り向いて「こんにちは!」と言ったのです。思わず「気を付けて行きなさいよ!」と声を掛けたら、5メートルぐらい走ってからまた振り向いて、走りながら笑顔で片手を振ってくれました。そしてすぐに、彼は左側にあった階段を下りて、車道の下へ消えました。
 夕暮れ前の歩道を歩きながら、胸がいっぱいになりました。

 

 

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