2011年7月

~50年間の思いが広島に届きました~

 

 7月5日のことです。広島の中国放送の方から電話がありました。「広島カープ球団からのお願いをお伝えします。今年の8月6日に広島市で53年ぶりにプロ野球の試合が開催されます。その試合前セレモニーで高木さんの詩『8月6日』を朗読したいのですが、使用許可をいただけますか?」という内容でした。すぐに快諾しました。
 そして7月15日には、同氏から「また一つお願いがあります。『8月6日』の詩をハガキに印刷し、約3万人の来場者に配り、知り合いへ郵送してもらうという企画をさせていただけないでしょうか?」とのメールがありました。またすぐに快諾しました。
 僕の詩の愛読者の皆さんはご存じだと思いますが、僕の詩集全6冊のうち、緊急出版した『こどものためにあいうえお』を除いた5冊は、全て8月6日を発行日にしています。8月6日は忘れてはいけない日なので、その思いを伝えるためにいつも8月6日を発行日にしているのです。
 8月6日は、広島に原子爆弾が落とされた日です。この日落とされた1発の爆弾のために約20万人が生命を失いました。
 僕は、人間というものがどういう生き物であるか、を考えるとき、いつも1945年8月6日の広島のことを思います。人生詩、または哲学詩と呼ばれる僕の詩は、8月6日を考えることなしには生まれなかったのです。もっと言えば、詩を書く以前に、僕が人間としてどう生きるかを考えるためには、8月6日を素通りすることができなかったのです。
 この約50年間、僕は8月6日の広島を思い続けてきました。小学生の時にはヒロシマについての作文を書きました。17歳の頃にはヒロシマについての詩を書きました。そして今から数年前には、『地球の広島、心の長崎』というタイトルの詩集を作ることを発表しています。
 そんな僕の詩「8月6日」が、2011年8月6日に広島のマツダスタジアムで、約3万人の来場者の前で女優の斉藤とも子さんによって朗読されます。そしてその様子は、BS- TBS の全国放送で日本中の何十万人もの方々に見ていただくことになります。後日、来場者の皆さんが発送してくださる僕の詩を印刷したハガキは、日本中、世界中へ届くことになるのです。
 僕の約50年間のヒロシマへの思いが広島に届き、そして日本中へ、世界中へも届くことになりました。ただ真っ直ぐに思い続けてきたから、こうして広島に届き、そこから大きく広がっていくのですね。今、そのことに感激し、そして感謝しています。

 

 

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